大阪大学小児外科の歴史は昭和27年頃、同大学第一外科においてわが国小児外科のパイオニアである植田 隆先生のヒルシュスプルング病の手術に始まります。その後、岡本 英三博士(現兵庫医科大学名誉教授)によりヒルシュスプルング病における腸管壁内自律神経の発生起源に関する胎生学的研究は今尚、国際的に高く評価されています。また昭和35年には当時最も困難とされていた食道閉鎖症手術において日大若林教授と同時期にわが国最初の成功を収めました
昭和57年第一外科川島康生教授により大阪大学に小児外科の診療科が誕生し、初代教授に岡田 正教授が就任されました。岡田正教授のもとで教室員は小児外科に関する業績を伸ばし、国内に留まらず国際的に高く評価されています。岡田教授は新生児外科、小児固形悪性腫瘍、小児胆道疾患、腸管不全、外科栄養を重点領域として臨床研究が行われ、それぞれの分野で優秀な人材が育ち、現在、大学および関連病院で活躍しています。私も岡田先生にご指導戴いた一人ですが、日本大学第一外科教授を5年余り担当した後、平成15年6月より岡田 正教授の後任として教室を主宰しております。
現在の方針としてはまず小児に対してQOLを重視し、成長発達に考慮した外科治療法、特に内視鏡下手術を推進しています。また小児がんに対する分子標的治療の導入、肝・小腸移植の推進を目指しています。新たなる取り組みとして胎児発生に関与する遺伝子の解析、再生医療、胎児治療にも積極的に取り組んで行きたいと考えています。教室の同窓生は近畿および中国地区において広く小児医療に従事しており、小児外科医療の更なる発展を遂げるため教室員は診療・研究・教育に励んでいます。
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