膵胆管合流異常状態を呈した十二指腸狭窄症の1例
関西医科大学2外科、市立岸和田市民病院外科*
田中義人、浜田吉則、高田晃平、日置紘士郎、佐藤正人*       
今回われわれは、十二指腸潰瘍穿孔で発症したwindsock型の先天性十二指腸狭窄症で、膵胆管合流異常と類似の病態を呈した1例を経験した。
患者はDown症の15歳の男子。突然の心窩部痛で発症し、腹部立位単純撮影で消化管穿孔と診断した。十二指腸球部前壁の穿孔部を腹腔鏡下に単純縫合した。術後の腹部CTと上部消化管造影で、十二指腸球部の拡張を認め、基礎疾患にWindsock型の先天性十二指腸膜様狭窄症があると判明した。また上部消化管内視鏡とERCPを施行した。胆道造影で、やや拡張した総胆管と共に膵管が同時に造影された。以上の所見より乳頭部
の機能不全による膵胆管合流異常類似の病態と考え、膜様物切除と、肝外胆管切除・肝管十二指腸吻合による分流手術を施行した。術中の胆嚢内胆汁のアミラーゼは3,723 U/l、リパーゼは6,835 U/lと高値であった。術後22日目に退院し現在まで経過良好である。