羊水過多にて気づかれた胎児症例
大阪大学小児外科
田附裕子,鎌田振吉,野瀬恵介,宇田津有子,川原央好,木村拓也,岡田 正
症例1は35週1日にて出生した男児(2753g,Apgarスコアー2/3).胎児エコーにて在胎30週より消化管の拡張像,羊水過多,胎児胸水を認めた.LT比は0.53であったがCT比は0.24と低値を示した.生後,胸部X-pにて両側横隔膜の挙上を認めた.呼吸循環不全にて生後20時間で亡くなった.児には足関節の拘縮を認め,剖検より筋緊張性ジストロフィと診断された.症例2は38週1日にて出生した男児(2740g,Apgarスコアー2/4).胎児エコーにて32週より羊水過多と胎児腹水を認めた.LT比は0.47であったがCT比は0.32と低値を示した.生後,胸部X-pにて横隔膜の挙上を認め,2週間の人工呼吸管理を要した.児はfloppyで,臨床経過から筋緊張性ジストロフィ-と診断された.両症例ともに母親にgrip
myotoniaを妊娠経過中に認めていた.両側横隔膜挙上症の出生前診断は困難なことが多いが、出生直後に重篤な呼吸障害を呈する例では、CT比の低下が診断の一助になるものと思われた。