生後1週目に胆汁性嘔吐で発症した・・・

大阪市立総合医療センター小児外科

中岡達雄、森内隆喜、春本 研、東 孝、中村哲郎、中平公士

 症例は生後8日目男児。妊娠、出生状況に特記すべきことなし。生後7日目に多量の胆汁性嘔吐を認めたため、精査加療目的に当院小児内科紹介となった。入院時、理学的所見に異常を認めず、単純X線写真、血液生化学検査でも特に異常所見を認めなかった。上部消化管造影、注腸造影でも異常所見を認めなかったため、保存的に経過観察することとし、経口摂取を再開した。1日400mlまでの経口摂取は可能で、体重の増加傾向も見られたが、胆汁性嘔吐が消失しなかった。上部消化管造影を再検したところ、トライツ靭帯よりもやや肛門側に腸管の拡張と造影剤の通過不良を認めたため、空腸狭窄を疑い開腹術を施行した。開腹所見ではトライツ靭帯から約11cm肛門側の空腸に狭窄を認めた。切除、端々吻合をしたところ、経口摂取は良好となり、軽快退院した。
空腸狭窄の原因は何であったのか。また早期診断の可能性につき考察する。