分類不能な小児肺分画症の1例
近畿大学奈良病院小児外科、同小児科*、同放射線科**
大割 貢、廣岡慎治、小角卓也、米倉竹夫、吉林宗夫*、三崎泰志*、廣田正志*、岡嶋 馨**、山本 敬**、西田千嘉子**
患児は2歳男児。1ヵ月健診時に心雑音を指摘された。生後11ヵ月目のMRA検査にて胸部大動脈から左肺下葉への異常流入血管を認め、肺分画症を疑われ、2歳時に精査目的にて当科受診となった。心臓超音波検査にて胸部大動脈から左肺下葉へ分岐する異常血管と、左心拡大を認めた。心臓カテーテル検査では、異常血管は胸部大動脈から分岐し、肺内で肺動脈に交通し、左下肺静脈へ還流していた。左肺動脈造影では左上葉肺動脈のみ造影され、左下葉の肺動脈は造影されなかった。異常血管は分岐部では径4.3mm、最大径は8mmと太かった。以上よりPryce
I型の肺葉内肺分画症と診断し、胸腔鏡補助下左肺下葉切除術を行った。異常血管は、径8mmと一定の太さで長さは2cmあり、左肺下葉の肺動脈は欠損し、A6のみ左肺上葉の肺動脈より分岐していた。摘出肺組織の病理所見ではHeath-EdwardsのII度の肺高血圧を認めたが、肺病変はなかった。術後10日目に退院した。