II-4 原因不明の乳児腹腔内出血。その原因は? 治療方針は?
近畿大学医学部外科小児外科部門
野上隆司、八木 誠、吉田 洋、塩崎 均、大柳治正
症例は8ヶ月女児。前日より機嫌不良さらに顔面蒼白であり、近医受診。Hb 4.9g/dlであり、乏尿もみられた。腹部CTにて腹腔内出血が疑われた。前医にてRC-MAP1単位を輸血された後、当科に搬送された。当科入院時はHb
8.3g/dlで尿量は確保されショック症状は改善していた。その後は明らかな出血性ショックの症状はなく保存的に経過観察し全身状態は改善した。入院当日の腹部CTにて副脾を同定したが明らかな出血源は不明であった。6週後に腹腔鏡下に観察した。副脾は表面平滑で球形であり破綻を思わせる所見はなかった。また大網が腹壁に数カ所癒着しており、一部は塊状であった。副脾と大網の一部を切除した。現在まで出血の再発はない。
乳児特発性腹腔内出血の1例を経験した。原因について、また初発の際に外科的治療が良かったかどうか等ご教示いただきたい。