II-5 精巣上体炎をくり返す幼児例
淀川キリスト教病院 小児外科
中岡 達雄、塩川 智司
患者は3歳男児。出生体重1198g、在胎32週で出生。出生時より右ソケイヘルニアと尿道下裂を指摘されていた。生後4ヶ月時に右ソケイヘルニア根治術を施行。1歳4ヶ月時、右精巣の発赤、腫脹と疼痛が出現、副精巣炎と診断し、抗生剤経口投与により保存的に軽快した。その後2歳5ヶ月時、2歳6カ月時、2歳10ヶ月時、3歳0ヶ月時、3歳4ヶ月時、3歳5ヶ月時、3歳9ヶ月時、3歳10ヶ月時と計8回にわたり、右副精巣炎を発症した。いずれも、経口抗生剤投与により、1日〜2日の経過で改善した。2歳7ヶ月時の逆行性尿道膀胱造影では尿道から精嚢を介して輸精管が副精巣まで造影された。また3歳時に他院で行った膀胱鏡検査で、男子小子宮と診断。尿の輸精管への逆流により副精巣炎を反復しているものと考えられた。治療法として精管結紮、男子小子宮切除などが考慮しつつ、現在外来経過観察中である。