I-2 腕頭動脈圧迫による気管軟化症の一例〜Willis動脈輪が不完全であった場合
姫路赤十字病院 小児外科   在間 梓、安福正男
神戸大学呼吸循環器外科    前田貢作、大北 裕

 症例は脳性麻痺の11才男児。以前より喘鳴を認めていたが、今回dying spellのため気管内挿管し抜管困難症となった。気管支鏡検査にて気管下部は肉芽形成がみられ、前壁より拍動性に圧迫されて気管内腔はほぼ完全に閉塞していた。胸部CT、動脈造影を施行した結果、腕頭動脈圧迫による気管軟化症と診断した。気管切開術を選択すると気管腕頭動脈瘻形成の懸念があり、腕頭動脈離断術を考慮した。しかし頭部MRAを施行したところ、右後交通動脈の閉塞を認めたため術式を変更し、腕頭動脈を切離して気管の右側に人工血管を用いて腕頭動脈を再建した。
 Willis動脈輪が不完全であった場合でも、腕頭動脈再建は必要なかったのか?