I-6 腹痛と肝機能異常で発症した脾嚢胞の1例
大阪市立大学小児外科
諸冨嘉樹、春本 研、林 宏昭
10歳・男児、2か月前より左悸肋部痛があり、増強するため近医受診し肝機能障害を指摘されて紹介となった.超音波検査で腹腔内に嚢胞を認めた.
画像検査で脾上極より左上腹部を占拠する単包性の嚢胞を認めた.巨大脾嚢胞による腹痛と肝圧迫による肝機能異常と診断し開腹術を施行した.
嚢胞は脾臓実質で覆われており、嚢胞と脾実質との境界は不明瞭であった.茶褐色の内容液が900
mlあった.脾摘術を避けるためにdome resectionとして嚢胞壁を一部残し切除した.残存嚢胞壁はアルゴンレーザーで焼灼した.術後の内容液の検査でLDH
1,671 IU/l、CA19-9 149,375 U/mlであることがわかった.
病理診断でepithelial cystの診断を得た.脾への腹膜の嵌入を原因とする真性の脾嚢胞と考える.