12.回盲部腫瘤様陰影を呈した症例:病気は何?手術すべき?
近畿大学医学部奈良病院 小児外科
山内勝治、佐々木隆士、小角卓也、大割 貢、米倉竹夫
 症例は11歳男児。急性虫垂炎で近医入院加療されるも、第2病日、腹部CTにて回盲部腫瘤陰影を指摘され、腸重積症を疑われ当科転院となった。理学所見上、発熱なく、右下腹部に圧痛を認め、下肢の発疹や浮腫も認めなかった。血液・生化学・凝固系検査ではWBC11000、CRP1.41、血沈39.0と炎症反応高値を認めるのみであった。腹部超音波検査、CT検査およびMRI検査では回盲部腸管壁の著明な肥厚を認めたが、明らかなtarget signは認めなかった。便潜血反応陰性、便培養では正常腸管細菌叢であった。各種腫瘍マーカーの検索を行うとともに、骨髄生検を施行したが、悪性腫瘍を疑う所見は認めなかった。限局性結腸炎を疑い、保存的療法(絶飲食・フルマリン2g/日投与)を行った所、第4病日には腹部CTにて回盲部腸管壁肥厚は消失した。結局、原因は不明となったが諸先生方の御意見・御指導を賜りたく報告した。