5.原因不明の嚥下運動と食道蠕動の異常をきたした新生児の1例
近畿大学 外科学小児外科部門
吉田英樹、八木 誠、吉田 洋、野上隆司、中村成宏
症例は日齢2の男児。主訴は哺乳不良、嘔吐と体重減少。出生前に羊水過多を指摘されていた。在胎41週0日、自然分娩にて出生。出生体重3232g、Apgar
score 9/9。生直後よりほとんど嚥下ができず、体重減少をきたしたため食道閉鎖症を疑われ、当科紹介となった。入院時体重2,840g。理学所見として筋緊張の低下と吸綴反射のないことが特徴的であった。外表など合併奇形なし。胃内へのチュービングは可能で食道閉鎖症は否定されたが、UGIにて食道蠕動と噴門部の弛緩のないことが確認された。頭部MRI、脳波などにより中枢神経障害は否定され、筋ジストロフィーなどを含めた染色体検査でも異常は認められなかった。確診を得られず、tube
feedingにより経過観察することとした。ところが徐々に四肢運動は活発となり、生後4ヵ月時にはほぼ定頚した。経口摂取についても徐々に嚥下が可能となり、生後5ヵ月時にはtube
feedingが不要となった。
これら一連の症状を一時的にきたす疾患が、果たして何であるのかをご教授いただければ幸いです。