8.中腸軸捻転ではどこが捻れるのか?
大阪赤十字病院 小児外科、外科*、小児科** 
松川泰廣、鳥口 寛*、崎田展子*、橋本佳子**、杉峰啓憲**、住本真一**
 中腸軸捻転では、上腸間膜動脈を軸に腸管が捻れるが、どの部位でどの血管領域が巻きつくのかはいまだわかっていない。最近の2例を提示するのでご批判をあおぎたい。症例1)生後4日の男児。トライツ形成なし。反時計方向の270度の捻転で、右結腸動脈とその領域腸管が巻きついていた。症例2)生後2ヶ月の男児。トライツ形成あり。時計方向450度の捻転で、回結腸動脈とその領域腸管が巻きついていた。両症例とも、ラッド靱帯は捻転部の上方にあり、中結腸動脈領域の腸管はラッド靱帯に持ち上がり巻きつきに関与していなかった。
 疑問点1:以下は正しいか?中腸軸捻転では、a)ラッド靱帯部は巻きつかない。b)中結腸動脈領域はラッド靱帯に挙上するので巻きつかない。c)巻きつくのは右結腸動脈領域もしくは回結腸動脈領域である。d)それを決定するのはラッド靱帯の長さか? 疑問点2:そもそもラッド靱帯とは何か?

<二次抄録>
 開腹したところ、肛門側の腸管が巻きついており、小腸が袋状に拡張した腸間膜内に嵌入し捻転している所見であった。捻転を解除したところ、Trietz靭帯より70cm,ileum  endより35cmの部位で閉鎖しており、閉鎖部位の腸間膜は異常なく、血管の走行も異常なかったため小腸閉鎖typeIIと診断した。口側の拡張腸管は色調不良であったため15cm程度切除して腸瘻を増設した。現在1072gで、入工肛門閉鎖にむけて待機中である。
今回の閉鎖が先天的な閉鎖か、捻転による二次的な閉鎖か?捻乾による二次的な閉鎖であるなら、いつ頃捻転が起これば、器質的な閉鎖に発展するのか?また成熟児でもこのような閉鎖は起こりうるのか?という疑問点をご教示願いたい。