12. 原因不明の大量下血 -出血の原因は?-
症例は8歳女児。主訴は下血。現病歴は平成16年10月に大量下血、重度貧血(Hb:4.5g/dl)にて前医入院。胃十二指腸内視鏡、メッケルシンチ、腹部CT、小腸造影を施行したが、出血源を同定できなかったため当科入院となった。入院後、大腸ファイバー、腹腔動脈造影を施行したが当科でも出血源を同定することはできなかった。平成17年10月に再び大量下血を認めたため、当科再入院した。出血シンチを施行したところ小腸レベルでの集積を認めたため、腹腔鏡下に観察後、臍部sliding
windowより小腸を導出して検索した。触診上異常を認めなかったが、回腸末端より口側70cm、90cmの2ヵ所に漿膜下血腫を認めた。血腫を含む小腸25cmを切除し、病理学的検索を行った結果、粘膜下、筋層に血腫の形成を認め、粘膜の破綻部から内腔へと出血していた。しかし、血管奇形や血管腫等の出血の原因となるようなものは無かった。