13.8歳女児にみられた骨盤内の感染性嚢腫
症例は8歳11ヶ月の女児。平成17年12月2日より腹痛出現。腹痛は間欠的であったが徐々に増強。12月7日前医で施行されたCTで下腹部の嚢腫を指摘され、当院紹介入院となった。初診時下腹部は膨隆し圧痛あり。USおよびMRIにて膀胱の背側に6cm大の嚢腫確認。膣、子宮は腹側に圧排されて存在しており腸管膜嚢腫や卵巣嚢腫などの感染を疑った。抗生剤による保存的治療を開始し、初診時CRP:12.94から3.01まで改善みられたが画像上は嚢腫残存。そのため12月20日腹腔鏡下に検索を行った。腹腔内は広範囲に癒着がみられ、特に骨盤腔は腸管が一塊に癒着し嚢腫は同定不可能であった。そこで経肛門的に経膣用超音波プローベを用いて、嚢腫の位置を確認しつつ鉗子で腸管の剥離を行い嚢腫切開、膿瘍ドレナージを行った。ドレナージにより感染徴候は陰性化し、画像上嚢腫は消失した。果たして原疾患は何であったのか?
<<二次抄録>>
症例は8歳11ヶ月の女児。平成17年12月2日より腹痛出現。腹痛は間欠的であったが徐々に増強。12月7日前医で施行されたCTで下腹部の嚢腫を指摘され、当院紹介入院となった。初診時下腹部は膨隆し圧痛あり。USおよびMRIにて膀胱の背側に6cm大の嚢腫確認。膣、子宮は腹側に圧排されて存在しており腸管膜嚢腫や卵巣嚢腫などの感染を疑った。抗生剤による保存的治療を開始し、初診時CRP:12.94から3.01まで改善みられたが画像上は変わらず嚢腫残存。そのため12月20日腹腔鏡下に検索を行った。腹腔内は広範囲に癒着がみられ、左右の卵管は発赤、腫脹が著明であった。また骨盤腔は腸管が一塊に癒着し嚢腫は同定不可能であった。そこで経肛門的に経膣用超音波プローベを用いて、嚢腫の位置を確認しつつ鉗子で腸管の剥離を行い嚢腫切開、膿瘍ドレナージを行った。ドレナージにより感染徴候は陰性化し、画像上嚢腫は消失した。細菌培養からは腸球菌が検出された。原因疾患として、当初考えていた腸間膜嚢腫や卵巣嚢腫は考えにくく、経膣、卵管由来の感染、もしくは虫垂炎やメッケル憩室炎などが考えられた。