7.鼠径ヘルニア再発が疑われた1例
患児は1歳女児。生後5か月時に右鼠径ヘルニアに対し当科で手術を施行。術前卵巣の滑脱が疑われており、Potts法で手術を行った。手術所見では滑脱はみられず高位結紮を3−0Polysorbで行った。術後1年2か月目に再び右鼠径部腫脹が出現し当科受診となった。右鼠径部に卵巣様の腫瘤が触知されヘルニア再発と考えられた。腹腔鏡下でヘルニア再手術を予定した。
腹腔鏡で観察すると、右鼠径ヘルニアの再発は認めず、内鼠径輪より腹腔側の子宮円靭帯に嚢胞状病変を認めた。腹腔鏡下に嚢胞を切除した。術後経過は良好で術当日に退院した。嚢胞は病理学的には中皮細胞でliningされた
cystであった。
子宮円靭帯の嚢腫で検索するとNuck管嚢腫がhitするが、本例のように腹腔内の子宮円靭帯に生じた例は検索しえた限りではみられず、稀な例と考えられた。