6.  回盲部悪性リンパ腫が疑われた再発性腸重積症の1例〜この症例はどうすべきであったか?〜

 症例は5歳の男児。4日間で4度の腸重積症を繰り返し、うち3回は高圧浣腸による整復が行われたが、原因精査が必要との判断で4回目発症時に当科紹介となった。腹部CTでは回腸から上行結腸への腸管重積像以外に、先進部にはカリフラワー様腫瘤を認め、回盲部周囲と腸間膜には多数のリンパ節腫脹を認めたため回盲部悪性リンパ腫を疑った。整復と原因検索の目的で緊急開腹術を施行した。開腹所見ではCT所見のとおり回腸終末部内腔に小腫瘤の集族を認め、回盲部腸間膜には転移をおもわせる多数のリンパ節腫脹を認めた。以上より回腸悪性リンパ腫を疑い、回盲部切除術を施行した。しかし2施設での病理組織結果はLymphoid hyperplasia、Lymphadenopathyといずれも良性の結果であり、患児は退院となった。当科では過去に腸重積症を初発症状とした回盲部悪性リンパ腫を2例経験しており、今回経験した症例はどう治療すべきであったのか、2症例との比較も交えて提示する。