7)右下腹部に限局した圧痛と腹膜刺激症状〜急性虫垂炎の他に?
5歳1ヶ月、男児。2日前から軽度の腹痛が出現したが、発熱や嘔吐は伴わなかった。近医を受診したが、臍下部に軽度の圧痛を認めるのみであった。しかし徐々に右下腹部痛が増強し、近医再診時には限局した反跳痛も認めたため、急性虫垂炎の疑いで当院に紹介された。体温は37、0℃、腹痛のため前屈姿勢となり歩行も不可能であった。右下腹部に限局した圧痛と腹膜刺激症状を認め、白血球数15440
/mm3、CRP 3、46 mg/dlと炎症反応を認めた。腹部造影CTでは回盲部周囲にlow densityの脂肪像がみられた。またその頭側に約10mm大の円状の淡い濃染像を認め、腫脹した虫垂と腸間膜の炎症をみていると思われた。腹部エコーでは同部位に約12mm大の低エコー像を認めた。急性虫垂炎と診断し、緊急手術を施行した。腹腔内に少量の漿液性腹水を認めたが、虫垂は正常であった。自験例の鑑別診断について検討したい。