11)虫垂炎術後4年目に腹腔内遺残膿瘍を来たした1

 

症例は16歳女児。12歳時に穿孔性虫垂炎に対し腹腔鏡下虫垂切除術の既往あり。術中所見では膿苔付着および癒着が高度であり開腹に移行となった。術後2年半後より12ヶ月に1度の頻度で4-5日続く38℃台の発熱を繰り返していたが、近医処方の抗生剤内服にて対応していた。術後4年目の16歳時、強い圧痛を伴う右腹壁腫瘤を主訴に当科紹介となり、腹部エコーにて腹壁に連続するφ5cm大の膿瘍および右水腎症を認め、腹腔内遺残膿瘍と診断した。また膿瘍腔深部の膀胱壁右側にφ4mm大の遺残結石を認めた。約2週間の抗生剤投与にて寛解し一旦退院とし根治術を考慮していた。3週間後に再燃したため、膿瘍ドレナージを試みたが腹壁からのアプローチでは困難であり断念。再度抗生剤投与を行い炎症が鎮静化した2週間後に膿瘍壁全切除術を施行したが、膀胱壁・盲腸壁を損傷し修復を要した。治療方針・治療時期の妥当性につきご意見賜りたく報告する。