表面に潰瘍を生じた巨大臍ヘルニアの1例を経験したので報告した。[症例]3カ月
男児。生後まもなくより臍ヘルニアを認めていたが生後3カ月ごろよりヘルニアの
増大傾向を認め、さらにその表面にびらんを生じてきたため近医を受診。抗生剤投与
を受けたが軽快せず当科を紹介され来院した。局所所見では巨大な臍ヘルニアを認
め、表面は緊張のために光沢を帯び、その頂上は痂皮をともなった潰瘍を形成してい
た。ヘルニア内容は還納可能であるが容易に脱出した。保存的治療では軽快しないた
め、手術を施行した。感染創であったので臍下の横切開で腹腔側からのアプローチし
たところ、ヘルニア門は直径約2cmで、脱出した小腸が潰瘍形成していたと思われる
部分の直下でヘルニア嚢と癒着していた。腸管とヘルニア嚢の癒着を剥離したところ
腸管には問題なく、術中原因不明の徐脈を呈したため、ヘルニア嚢はそのままで、ヘ
ルニア門を3-0 vicryl 2針の結節縫合で閉鎖した。翌日、ヘルニアの再発を認め、
再手術を施行した。臍の潰瘍部からアプローチしたところ、ヘルニア門を閉鎖した糸
が切れて腸管が脱出していたため、ヘルニア門を2-0 vicryl 6針で縫合閉鎖した。
術後経過は良好で術後10日で退院した。