大阪市立総合医療センター小児外科
春本 研,中平 公士,竹内 敏,
中村 哲郎,東 孝,井上 隆

 症例は13歳の女児。重度の心身障害児で,高度の脊柱側弯が存在した。発熱のあっ
た翌日より呼吸困難が出現。胸部CT上隔壁を有する多房性の胸水貯留がみられ,胸腔
ドレナージにて1日約250mlの乳白色漿液性胸水が認められていた。低血糖,高インス
リン血症が存在したためOGTT施行したところ術前は著明な高インスリン血症と反応性
の低血糖を認め,また胸水中のエラスターゼ1が56800ng/dlと高値であった。胸腔ド
レナージ後の造影CTにてhigh densityの腫瘤像がみられたため手術を施行。術中所見
では前縦隔に腫瘍を認め,病理検査結果は前縦隔奇形腫であり,外分泌腺と内分泌腺
が複雑にからみあう形態上珍しいものであった。