羊水過少は時期によってはPotter症候群を呈し救命困難とあるため,出生前管理には注
意を要する。最近,我々は羊水過少を伴った出生前診断例2例を経験したので報告する。
症例1は在胎22週の超音波検査で羊水過少および骨盤腔から腹部にかけて嚢腫を認め,
膀胱は認めなかった。嚢腫は腸管様で蠕動をみた。32週で出生後,Potter症候群のた
めに生後16時間で死亡した。剖検ではcovered typeの膀胱腸裂であり,腎の形成は正
常であった。胎児期の尿が膀胱腸裂を通して腸管内に流入したために羊水過少となった
と推察された。症例2は32週時に羊水過少のため当院紹介となった。膀胱以上の尿路の
著明な拡張がみられ,また仙骨前面に腫瘤を認めた。34週に胎児膀胱穿刺を行い胎児
に尿産生能があることを確認し,36週帝王切開で分娩後,腫瘤摘出を行い救命した。腫
瘤は仙尾部奇形種で尿道を圧排したために羊水過少となったと推察された。患児は在胎
38週で2940gにて出生し、日齢9に胆汁性嘔吐、下血、腹部膨満を呈し、腸回転異常症
による中腸軸捻転の診断で、日齢10に開腹手術が施行された。十二指腸下行脚よりすぐ
肛側から小腸はうっ血しており、軸捻転解除後でも色調が比較的良好な小腸は回腸末端
部の40cmのみであった。そのまま閉腹し、日齢12にsecond look を、更に日齢14に
third lookを行った。しかし、腸管の循環不全は改善せず小腸の60%の切除を余儀なく
された。更に残存小腸にも瘢痕性狭窄を生じたため計5回の手術を要し、残存小腸20cm
となった。retrospectiveには2回目の手術時に循環不全の腸管を切除することが適切
な判断であったと反省された。