今回、我々は喘息を有するGER症例に対し、腹腔鏡下噴門形成術を行い、術後経
過中に摂食障害が出現し、2度の再手術を余儀なくされた症例を経験したので報
告する。
 症例は1歳男児。主訴は喘鳴、反復する上気道炎。現病歴。生後6ヶ月より喘
鳴を伴う上気道炎を反復し、外来通院した。生後11ヶ月気管支喘息と診断され、
当院小児科に24日間入院。1歳1ヶ月、上気道炎症状が持続し、喘息発作を繰り
返すため、当院小児科に入院し、GER精査目的で当院紹介。GERに対し、腹腔鏡下
噴門形成術(Nissen法)を行った。術後早期より摂食時、著明な腹部膨満と通過
障害を認めた。UGIで幽門の通過障害を認めた為、幽門形成術を行った。その後
も摂食困難と腹部膨満は改善せず、幽門形成術後のUGIで胃軸捻転と診断し、胃
前壁固定術を行った。胃は小弯前壁が肝左葉下面に癒着しており、軸捻転の形で
固定されいた。癒着の原因は噴門形成時、肝下面漿膜を損傷し、その部分に胃小
弯前壁が癒着したものと思われた。胃固定術後、経口摂取は良好となり、初回手
術より115日目、退院となった。