大阪大学小児外科
澤井利夫、鎌田振吉、岡田 正

本症例は大動脈弁閉鎖不全に対して人工弁置換術を受けた3才の女児である。術後ヘパ
リンによる抗凝固療法中であった。術後25日目に急激に腹部膨満が進行し、約300
mlの暗赤色の下血が見られ、出血性ショックを来した。胃管を挿入するも、出血はみら
れず、腹部血管造影を施行した。胆嚢動脈において出血を認 めたため、コイルによる選
択的塞栓術を施行。同時に施行したCTにて、上腹部に7×8cm大の血腫様の腫瘤を認
め、腹腔穿刺を施行したところ、腹腔内出血を確認したが、循環動態が安定せず、待機
的に開腹術を施行した。胆嚢は、ほぼ全長にわたり破裂しており、出血により、急激に
緊満したため破裂したものと思われた。
以上心臓手術術後に胆嚢出血及び破裂を来した稀な症例を報告した。