食道閉鎖を伴った気管無形成の1例
大津赤十字病院 小児外科*、外科**、小児科 ***、産婦人科****丹後泰久**、
松川泰廣*、今井剛***、横田浩美****
母親は31歳初産婦。妊娠28週より羊水過多を指摘され2回羊水除去を受けている。胎児
エコーでは特に異常なし。 34週4日で前期破水あり。35週2日経腟分娩にて出生。
1985g、女児。Apgar 1/1。陥没呼吸、チアノ−ゼを認めた。酸素をかがすと一瞬だ
け血色がよくなり、ヒーという音がしたが、呼吸不能で、気管挿管を試みたが声門を越
えてからチューブが進まず、食道挿管もチューブが進まず、マスク換気も出来ずすぐ死
亡した。剖検では、気管が声帯直下で閉鎖、気管気管支は形成あり、食道は上部が盲端
となり気管との間にピンホールの瘻孔を認めた。下部食道は気管との間に気管食道瘻を
認めた。他の合併奇形はなかった。気管無形成( Floyd分類1型)、食道閉鎖(D型)
であった。マスク換気がしばらくでも可能であれば気管切開で救命できた症例だろうが
、本例ではいかなる処置もできず救命できなかった。