腹部嚢胞性腫瘤の1例

大阪市立総合医療センター小児外科
井上 隆、中平 公士、竹内 敏、中村 哲郎、東 孝、春本 研、

生後2ヶ月の女児、発熱及び腹腔から左下腹壁にいたる嚢胞性腫瘤を認め、当科紹介と
なる。感染に対して保存的治療を施行しながら画像検査を進めていったが、術前診断は
困難であった。術中、術後診断は尿膜管遺残の感染による腹壁膿瘍であった。膿瘍亜全
摘術、腹腔ドレナージ術を施行した。術後経過は良好で術後25日目に退院となった。
尿膜管遺残の感染では本例のように腹腔から腹壁皮下に及ぶ膿瘍を形成した報告が散見
され、このような形態をとる病変には本疾患を考慮することも必要である。