3歳女児、右乳腺腫瘤。さて何でしょう
近畿大学医学部第2外科、第1病理*
山内勝治、窪田昭男、米倉竹夫、保木昌徳、廣岡慎治、小角卓也、大柳治正、伊藤浩行*
症例は3歳女児。主訴は右乳腺部腫瘤。出生時より両側乳腺肥大を認め、1歳時に乳腺
肥大の消退と共に右乳腺部の腫瘤に気づいた。腫瘤の大きさに変化はなかったが、腫瘤
直上の皮膚陥凹が顕著となり、当科を受診した。来院時触診上腫瘤はAB領域に存在し
、大きさは約1.5×1.3cmの不定形、硬。皮膚固定を認め、dimplingを認めた。画像診
断では石灰化を認めない、hypoechoicな腫瘤であった。肉芽腫、線維腺腫を考え、腫
瘤摘出術を施行した。免疫組織診断でInfantile Myofibromatosis(以下IM)との
診断を得た。IMは小児期の軟部組織腫瘍の中では血管腫、リンパ管腫につぐ頻度であ
る。小児期の軟部組織腫瘍では本症を念頭に置くことが肝要と思われた。