新生児腸閉塞の1例
淀川キリスト教病院 小児外科
◯上田正直,塩川智司,辻本嘉助
症例は在胎35週6日,1880gで出生した男児.羊水過多,混濁なし.出生後,胎便排出
あり.日齢3,腹部膨満,胆汁性嘔吐にて発症.日齢4,当院NICU搬送入院.入院時,
右上腹部にクルミ大腫瘤触知.超音波検査で肝,胆嚢に接して,境界不明瞭な
heterogeneous areaを認め,注腸ではmicro-colon,caliber changeはみられなか
った.開腹すると,回腸の一部が捻転,壊死,周囲腸管と一塊となり,肝下面および胆
嚢に癒着.捻転腸管の間膜は根部が狭小で,過長を認めた.近年,胎生期の腸軸捻転が
先天性小腸閉鎖の大きな原因の一つで,その捻転の主因が,腸間膜異常にあるのではな
いかとされている.自験例も胎生早期に発生していれば,腸閉鎖に陥っていた可能性が
あると考えた.