先天性結腸閉鎖症 or 炎症性?
母子保健総合医療センター 小児外科
木村拓也、八木 誠、米田光宏、北山保博、大谷まり、井村賢治

先天性結腸閉鎖症の診断で手術を行った症例が、術後の摘出病変と病理組織診断の違いにより、その病態を考慮する上で難渋したため報告する。症例は日齢2の女児。在胎39週。2725g、apgar 9/10にて出生。羊水過多、羊水の混濁は認めなかった。生後より胎便の排泄は認められず、哺乳も進まなかった。日齢1より腹部膨満及び胆汁性嘔吐を認め、翌日増強するため当科搬送となった。腹部単純X線、立位像では、小腸および横行結腸から下行結腸にかけての著しい拡張像を認めた。注腸では造影剤がS状結腸より口側に進まなかった。開腹するとS状結腸に口径差を認めた。続いて肛門よりネラトンを挿入するも、狭窄部より口側には進まなかった。拡張部前壁を切開すると狭窄部は距離があり、狭窄部切除、端々吻合とした。摘出標本上、狭窄部では2つの隔壁構造が認められ、2重の膜様閉鎖を疑った。病理組織では筋欠損を伴う穿孔性潰瘍の診断であった。結論的には新生児狭窄部腸管の切り出し切片がずれたため認められたマクロおよびミクロの診断のずれであり、最終診断は結腸閉鎖症とした。