仙骨前の嚢腫、何でこんなに再発するネン?
大阪府立母子保健総合医療センター小児外科
井村賢治、他
症例は3歳4カ月の女児。1年前に排尿障害・腹痛を伴う下腹部の嚢腫を指摘され、某
産婦人科で卵巣嚢腫を疑い開腹された。嚢腫は仙骨前面に強固に付着し不完全摘出に
終わったが、嚢腫壁は上皮細胞を認めない炎症性嚢腫であった。1年後再び腹痛を訴
え、CT検査で前回と同じ部位に嚢腫を認めたので、当科に紹介されてきた。仙骨前面
の4cm大の嚢腫の尾側に小石灰化影を伴うsoft tissue densityとfat densityの混在
する腫瘤影が同定されたので、仙尾部奇形腫の遺残と考え、腹仙骨式に腫瘤摘除を試
みた。しかし切除した尾骨周囲に腫瘤を認めなかったので、易出血性の仙骨前嚢腫の
み摘出した。嚢腫内容液はchyloで、嚢腫壁は前回同様炎症性仮性嚢腫であったが、4ヵ
月後再び同部に嚢腫が再発した。その病態と次の治療につき検討した。