8歳男児に認めた腸重積症の一例
京都府立医科大学小児疾患研究施設 外科
佐々木 康成、常盤 和明、岩井 直躬
患児は間欠的腹痛と頻回の嘔吐にて近医を受診し、抗コリン剤により症状は一旦軽快し
た。その後も同様の症状が繰り返し出現し、同院に入院となった。諸検査より腸重積症
と診断されたが、器質的病変を疑い当科紹介入院となった。整復後上行結腸に壁の伸展
性が不良な狭小部位を認めた。入院翌日の大腸内視鏡では上行結腸に発赤の強い腫瘤性
病変を認めた。腹部CTでは上行結腸の壁は全周性に肥厚していた。Gaシンチでは異常集
積は認めなかった。入院7日目の注腸造影では狭小部は改善したが、壁の伸展性はやや
不良であった。入院20日目の大腸内視鏡では、壁の浮腫は消失し粘膜面はほぼ正常であ
り明らかな腫瘤性病変は認めず、翌日退院となった。この症例では上気道感染や腸炎な
どの先行感染は認めなかった。8歳で上行結腸に腸重積症を発症した原因は何か?