胎児診断にて縦隔嚢胞性疾患を疑われた1例

関西医科大学第2外科
高田晃平、浜田吉則、神原達哉、日置紘士郎

症例は生後4日、男児。在胎34週に胎児超音波検査にて縦隔内に嚢胞状陰影を指摘され、食道裂孔ヘルニアの診断で経過観察されていた。経過中、嚢胞は最大で2x2cm、描出されないこともあったが、増大傾向はなかった。在胎37週6日、2205g、自然分娩で出生。X-Pにて縦隔に嚢胞状陰影、上部消化管造影にて胃の一部が横隔膜上に挙上していた。両大動脈右室起始、心内膜症欠損、肺動脈狭窄、総肺静脈環流異常の心奇形、無脾症、対称肝を合併していた。傍食道裂孔ヘルニアの診断で十二指腸ゾンデ挿入を試みたが、ゾンデは胃内に停滞し、チューブ栄養が開始できなかった。また、経口摂取を行ったが、嘔吐認めたため生後4日開腹術を施行した。食道裂孔に開大はなく胃大弯が肝と横隔膜との間に陥入していた。胃軸捻転症の診断の下、胃固定術を施行した。肝十二指腸間膜が相対的に短縮しており、十二指腸球部で通過障害を認め、胃十二指腸吻合を併施した。術後、経過順調で嘔吐なく、経口摂取が行われている。