ダウン症患児にみられた食道アカラシアの1例

大阪市立総合医療センタ−小児外科
春本 研,中平 公士,竹内 敏,中村 哲郎,東 孝,中岡 達雄

食道アカラシアは,下部食道括約筋の弛緩不全,食道の運動障害,および両者の協調障害などを特徴とする疾患である。今回われわれは小児期には稀な食道アカラシアを2例経験した。
症例1 8歳男児。低身長,摂食後の嘔吐があり。
症例2 3歳男児。ダウン症。食物の誤嚥を繰り返していた。
2例とも上部消化管造影にて下部食道の狭窄を認め,ブジ−数回施行するも狭窄症状が再燃。そこでGavriliu法を施行。術中採取した食道平滑筋層間の神経叢にはganglion cellを認めなかった。術後は上部消化管造影上,通過の改善をみた。
ダウン症患児における本症の問題点として,術前検査における診断の困難性,および術後も基礎疾患のない患児と比較すると,食道の蠕動運動などの問題があるようである。