水痘を契機に発症し、保存的治療にて完全消失した嚢胞性肺疾患の1例

 近畿大学第2外科 野上隆司、臼井規朗、平井久也、小角卓也、山内勝治、窪田昭男、大柳治正
 症例は7歳男児。本年5月水痘発症後呼吸困難が出現し胸部レ線上腫瘤陰影を認めたため当科に紹介された。CT及びエコーにて膿胸を疑い胸腔ドレナージを行ったが,排液は漿液性で培養も陰性であった。次にCCAMに肺感染症を合併したものを疑い開胸肺生検を行った。組織学的には肺組織の化膿像と菌体を認めたが,組織培養では陰性で組織のPCR法では水痘ウィルスDNAは陽性であった。1ヶ月後のCTにて病変が著明に縮小したため,肺膿瘍として保存的治療を継続したがその後病変はほぼ完全に消失した。本例は細菌性ともウィルス性とも異なる肺膿瘍を呈したが,水痘を契機に発症したことからウィルス感染が何らかの関与をしたものと考えられた。