腹腔内巨大腫瘤を呈した交通性消化管重複症に1例--再手術の時期について--
愛染橋病院小児外科
棚野博文、松尾吉庸、高橋英治
症例は在胎31週、帝王切開分娩の直前に胎児超音波検査にて腹腔内腫瘤を指摘され母体搬送入院となった。同日緊急帝王切開に
て分娩。出生直後より腹部膨満を認め、生後12時間目の腹部レントゲン写真にてfreeairを認めたため、緊急手術を施行した。
腹部腫瘤は嚢腫状で隔壁を有し内部には480mlの液貯留を認めた。また嚢腫内に開口する腸管を認めた。交通性消化管重複症
と診断し可及的壁の切除と開口している腸管の人工肛門造設を行った。術後嚢腫腔は一旦縮小したもののドレン抜去の後再び増
大したため、再度ドレン留置術を行った。また術後に一過性肝機能障害を来たしたが軽快している。現在根治手術の時期を待機
中である。