原因不明の陰嚢内腫瘤
関西医科大学第2外科
木田裕之、浜田吉則、高田晃平、日置紘士郎
症例:3か月の男児。在胎41週、2616g、Apgar 9点で出生。周産期に異常を認めず。生直後から左陰嚢腫大を認め当科に紹介された。AFPは536ng/ml、腹部は平坦、軟で圧痛なく、鼠径部に膨隆なし。左陰嚢は3×1.8cmと腫大し、超音波検査、CT,
MRIで内部に散在性の粗な石灰化像と充実性部分が認められた。腹部CTで腹膜表面にも散在性の石灰化が認められ胎便性腹膜炎と考えられたが、精巣奇形腫も否定できず腫瘤摘出術を施行した。病理学的に体毛が認められたことより、石灰化および充実性腫瘤は胎便性腹膜炎によって腹膜鞘状突起内に漏出、貯留した腸内容と診断された。陰嚢内石灰化の鑑別診断に軽微に経過した胎便性腹膜炎を考慮する必要があると考えられた。