間欠的胆汁性嘔吐,巨大結腸を呈する14歳女児の一例;何を考えますか?

大阪府立母子保健総合医療センター小児外科
神山雅史、窪田昭男、奥山宏臣、大植孝治、黒田征加、池上玲一

症例は14歳女児。主訴は,胆汁性嘔吐。2000年6月より腸閉塞症状を繰り返すため当院入院。乳幼児期より年に数回,腸閉塞症状を起こすも保存的治療で軽快していた。腹部単純レントゲンでは症状増悪時に巨大結腸を認めた。肛門内圧検査,直腸粘膜生検及び注腸造影で,Hirschsprung病は否定的であった。また注腸造影ではCecumの位置異常を,上部消化管造影では十二指腸3rd potionに狭窄部を認めた。腹部超音波ではSMA症候群も否定的であった。以上より3 a型の腸回転異常症と予想し開腹術を施行した。SMA背側の索状物により十二指腸3rd potionに狭窄部を認め,この狭窄により十二指腸は著明な拡張を示した。また,結腸脾彎曲部から側腹壁に走行する索状物が存在し,これにより小腸の内ヘルニアが起こり結腸脾彎曲部の間欠的狭窄が出現したと考えられた。また,慢性的腸管拡張による腸管の蠕動障害も腸閉塞状態を引き起こす一因と考えられた。