後腹膜リンパ管腫に対して硬化療法を行っている1例
三重大学第2外科:荒木俊光、内田恵一、井上幹大、浦田久志、楠 正人
症例は生後0日の男児。右側腹部から後腹膜、陰嚢にわたる巨大なリンパ管腫を認めた。CTでは右腎、下大静脈はリンパ管腫に巻き込まれており完全切除不能と考えられた。右側腹壁、後腹膜のリンパ管腫に対しそれぞれ1回ずつOK432による硬化療法を施行した(2KE/20ml/回)。炎症反応は認められたが縮小には至らなかった。リンパシンチでは下肢からのリンパ流は両側鼠径部でうっ滞し、リンパ管腫の部位への集積はほとんど認められず、右上腹部に異常集積がみられ、この部位からの交通の可能性が示唆された。現在、外見上の変化はなく、今後硬化療法の継続を予定しているが、その時期や方法あるいは手術適応について検討中である。