頑固なリンパ漏を来たした腰背部リンパ管腫の一例 ―その後―
大阪大学医学部小児外科
澤井利夫、鎌田振吉、岡田 正
小児リンパ管腫は発症部位や発育様式によっては治療法の選択に苦慮する。我々は頑固なリンパ漏を来たしたリンパ管腫の一例を経験し軽快をみたので報告する。症例は現在17歳男性。1歳頃steroid療法にて退縮したが6歳時再燃した。腰背部、右臀部及び陰嚢に広がる、乳び漏を伴うリンパ管腫にbleomycin及びOK-432注入療法を試みたが、著変なかった。13歳時の同腫瘍内大網移植術術後、右臀部・陰嚢の乳び貯留・漏は減少した。17歳時腰部陰嚢部皮膚皮下組織切除及び植皮術を施行した。術後陰嚢部から多量の乳び漏を認めるも、IVHと低脂肪食管理によって術後5ヶ月後乳び貯留・漏はほぼ完全に消失した。今後同手術を残病変に施行予定である。