急性リンパ性白血病の治療中に発症した縦隔気腫の1例

大阪市立大学第2外科
山田弘人、大野耕一、諸冨嘉樹、井上清俊、西田 達、河田安浩、泉 信博、竹内 敏、木下博明

【症例】16歳,男児.主訴は頚部腫脹.13歳時より急性リンパ性白血病のため,化学療法と末梢血幹細胞移植を施行され寛解となった.平成13年4月にGVHDのため激しい咳嗽が出現し,1日30-40mgのプレドニンが開始された.平成13年6月より右頚部に腫脹が出現した.CT検査で縦隔気腫と診断し,平成13年6月4日に経皮的前縦隔ドレナージ術を施行した.呼吸困難はなく経口摂取は可能で,発熱や炎症所見も認めなかったが,縦隔気腫は徐々に増悪したため、平成13年6月22日に右胸腔鏡下に縦隔ドレナージ術を施行した.症状は改善し平成13年6月30日にドレーンを抜去した.【考察】 ステロイドを投与された白血病患者に発症した縦郭気腫が報告されている.肺胞と間質の圧較差のため,間質から縦隔に空気が漏出すると考えられている.自験例では咳嗽による肺胞内圧の上昇と,ステロイドよる肺胞および間質の脆弱性が関与したと推測した.