新生児期発症の血性下痢の2例

兵庫県立こども病院 外科
前川貴代,連 利博,津川 力,西島栄治,佐藤志以樹,高見澤 滋,伊勢一哉

症例1:日齢8の男児.日齢2より血便が出現,以後増強.注腸透視にて異常所見認めず.胆汁性嘔吐出現,全身状態悪化のため日齢9に試験開腹.腸管に広範囲の浮腫と出血斑を認めるのみであった.術後人工乳再開にて下痢出現.検査所見上,牛乳特異抗体及び好酸球上昇を認めミルクアレルギーが考えられた.蛋白分解乳にて下痢は消失した.症例2:日齢9の女児.破水時血性羊水,生直後より血便排泄を認めた.注腸透視,UGIにて異常所見なくミルクアレルギーを疑い,蛋白分解乳開始,血便は消失した.新生児期発症のミルクアレルギーはまれではなく,ときにショックなどの重篤な状態を呈することがある.検査により外科疾患が否定的である場合,ミルクアレルギーの可能性を考え早期に治療を進めていくことが重要である.