膵炎発症後3ヶ月を経て嚢胞が出現した1歳女児例

高槻病院 小児外科、同病理*
日隈智憲、畠山理、安福正男、山本哲郎、岩井泰博*

症例は1歳の女児。H13年3月頃から臍ヘルニアが出現し徐々に巨大化していった。これに対し5月末に手術施行したところ、混濁した多量の腹水を認めた。腹水および血液の生化学検査にてアミラーゼの異常高値認めたため、精査した。膵炎の症状に乏しく、病態は高アミラーゼ血症と膵性腹水を認めるのみであった。膵液漏を疑った。膵性腹水に対しソマトスタチンアナログを使用するも著効せず。急性膵炎の治療を行うも病態は改善しなかった。3か月後の8月末、熱発と高アミラーゼ血症の急性増悪を境に膵嚢胞が出現。膵嚢胞十二指腸吻合術にて病態の解決を得た。膵嚢胞出現まで長期間を要したために診断と治療に苦慮した症例であったので報告する。