10カ月時、突然発症したCricopharyngeal achalasiaの1例
兵庫県立こども病院外科
高見澤 滋、連 利博、津川 力、西島 栄治、佐藤 志以樹
伊勢 一哉、前川 貴代
症例は10カ月女児。満期正常経腟分娩、2890gで出生。生後10カ月頃から嚥下障害、体重増加不良(<-2SD)を認めた。嚥下造影検査を施行し、咽頭ム食道移行部の弛緩不全を認めたため、Cricopharyngeal
achalasiaの診断で手術を施行した。輪状咽頭筋はhypertrophicで、厚さ約3mm。輪状咽頭筋の背側正中の全長、食道壁筋層の一部を含め縦切開し、myotomyを施行した。
病理所見では神経節細胞も認められ、線維化、炎症所見はごく軽度であった。術後、嚥下障害は劇的に改善し、手術当日から経口摂取が可能となったが、術後1カ月半で症状が再出現したため、バルーン拡張術を施行し、現在嚥下障害は消失している。本症例に認められた、輪状咽頭筋の肥厚を伴うachalasiaの小児症例の文献的報告は無く、乳児後期発症と発症時期が遅いこと、また明らかな輪状咽頭筋の肥厚を認めた点で特異な症例であると考えられた。