腹痛で発症した3歳の多房性嚢胞-----腎原発? 後腹膜原発?-----
高槻病院 小児外科、同病理*
日隈智憲、畠山理、安福正男、山本哲郎、岩井泰博*
症例は3歳男児。左季肋部痛にて発症。同部位に腫瘤を触知したため、腹部エコーを施行したところ9x6cm大の巨大な多房性嚢胞を認めた。血液検査上は特に異常を認めず。腫瘍マーカーはHVAの上昇を認めた。CT、MRI上は腫瘍は左腎前方に存在し境界は明瞭で腎の圧排、変形等は見られず。腎静脈は腫瘍に挟み込まれてはいるものの閉塞はしておらず水腎も見られない。画像的には良性であったが、手術所見では腫瘍は尿管を巻き込み、腎との剥離も困難、また栄養血管らしき流入・流出血管も見られ悪性を疑うものであった。病理学的には平滑筋を含む非特異的結合組織からなる嚢胞であった。
この腫瘍の発生部位はいったいどこか。