新生児仙尾部神経芽腫の1例 ―治療方針は?―

関西医科大学第2外科、小児科*
三宅 岳、高田晃平 渡辺健太郎、棚野晃秀、
中野崇秀*、川崎裕英*、浜田吉則

症例は日齢5の女児。41週0日、3270 g、Apgar score 8/10にて出生した。出生前診断なく出生後に臀部腫瘤を指摘され附属男山病院に紹介されたが、腫瘍の急速な増大、排便障害、尿閉のため日齢5に当院に転院となった。両側臀部に弾性硬の腫瘤を触知し、CT, MRIにて骨盤内に直腸を取り巻く7×4cm大の嚢胞を伴う充実性腫瘤を認めた。尿中VMA、HVA、血清NSEは正常であった。日齢6の生検にて神経芽腫、花冠細線維型、poorly differentiated, low MKI (favorable group), stage。と診断され、N−myc増幅なし、Ha-ras 2+, Trk A 2+であった。化学療法として乳児神経芽腫プロトコールregimen C半量2クール、regimen C1クール、A1プロトコール1クールを施行した。初回化学療法後に臀部の突出は著明に減少したが、その後の腫瘍径、腫瘍マーカーはほぼ不変で、治療開始7か月の現在、尿閉、排便障害を認めず保存的に経過観察を行っている。今後の治療方針を検討中である。