巨大胸壁リンパ管腫の治療法−切除後のリンパ漏をどうする?
大阪府立母子保健総合医療センター小児外科
奥山宏臣、窪田昭男、川原央好、大植孝治、井原欣幸、野瀬聡子
症例は前胸壁から左上肢、縦隔、後腹膜、下肢にかけての巨大リンパ管腫の出生前診断例。胎生16週より径3cmの前胸壁嚢胞を指摘され以後増大傾向を認めた。27週には嚢胞径は11cmに達し、28週1日に嚢胞内への出血からfetal
distressに陥り緊急帝王切開にて娩出された。出生体重2912g、Apgar score 4/6。出生時左胸壁を中心として内部に出血を伴った重量約1500gの巨大なリンパ管腫を認めた。出生直後に胸壁リンパ管腫の摘出を行い、さらに胸壁および後腹膜に対してピシバニールによる硬化療法を計3回行ったが、効果なく生後6ヶ月の現在も1日約300mlの前胸壁皮下のリンパ漏が続いている。CT検査では縦隔、後腹膜、下肢にリンパ管腫が残存し、リンパ管シンチでは全身のリンパ管の還流障害を認めた。本症例に対する胎児治療の適応、出生後の治療法、リンパ漏に対する治療法等について検討した。