急性腹症-どうしたらよかったのか?−
近畿大学奈良病院小児外科
東大阪市立総合病院*
小角卓也、米倉竹夫、大割 貢、上田 卓*
Schonlein-Henoch紫斑病(本症)は皮疹が先行する場合がほとんどで診断に苦渋することは少ない。今回、急性腹症が先行し腹膜炎疑いにて緊急手術を施行し診断に苦渋した症例を経験した。症例は6歳女児。5日前より嘔吐、腹痛出現し近医受診。腹痛が持続し腸炎と診断され他院入院。高度の炎症所見を認めた。翌日のCT検査で腹水を認め、筋性防御も出現し本院紹介。消化管穿孔性腹膜炎の診断で緊急手術を施行。傍正中切開にて開腹し淡血性の腹水を認めた。虫垂炎の所見は認められなかったが、回盲部から、約20cmの回腸に約10cmの長さにわたり発赤膨大所見を認め、回盲部より5cm、10cm部位の回腸にリンパ濾胞とみられる壁肥厚を認めた。他の原因検索のために、開腹創にLAP
DISCを装着し、左側腹部にトロッカーを挿入し、腹腔鏡下に腹腔内の検索を行ったが異常は認なかった。術後2日目に両下肢に紫斑が出現し本症と診断できた。稀な経過をとった本症を若干の考察を加えて報告する。