臍帯ヘルニア、恥骨離開、外陰部が二つある女児ー何でしょう?

大阪大学小児外科 兵庫医科大学第一外科*
神山雅史 鎌田振吉 臼井規朗 澤井利夫*

胎児超音波にて臍帯付近にcystic lesionを認め、臍帯ヘルニア、腹壁破裂を疑われた。在胎40週5日、出生体重3140g、Apgar score9/9にて出生。腹部に臍帯ヘルニア、外陰部には一対の大陰唇と二対の小陰唇を認め右からは尿の、左からは尿および胎便の排泄を認めた。また、第7から10胸椎の二分脊椎および第5腰椎以下の重複脊椎、恥骨離開を認めた。臍帯ヘルニアに対して3色素療法を施行し生後9日に手術を施行。臍帯ヘルニアは一期的修復。左側総排泄腔の起始部で、膀胱、膣、直腸が合流、直腸開口部にて切離。左卵巣、卵管は欠損。腸骨骨切、恥骨縫合を施行後、外陰部を形成。また、腸回転異常および盲腸より約5cm肛門側から始まる重複腸管を認めた。回盲部より約30cm肛門側結腸に人工肛門造設。
以上の病態を検討した結果、最も近いと考えられる診断は、Caudal duplication syndromeであった。Caudal duplication syndromeは、下半身の一部分あるいは大部分が下腹部か臀部に結合したものをいい、一卵性双胎の不完全な分離により発生すると考えられている。検索し得た症例は28例(男児19、女児9)であり、この症候群のほとんどに消化器系、尿生殖器系、および椎体系の、duplicationなどの奇形が伴っている。本症例においても臍帯ヘルニア、重複結腸、膀胱膣直腸瘻、重複外陰、重複尿道、単一卵管を認めた。