食道閉鎖症に合併した喉頭気管食道裂の1例

高槻病院小児外科  安福正男、在間梓、尾藤祐子、畠山理、山本哲郎

症例は4ヶ月男児、C型食道閉鎖鎖症術後に喉頭気管食道裂III型が判明し気管切開の後紹介となった。内視鏡検査では被裂軟骨から気管は分岐部の手前まで裂開し、裂の下端を超えるとTEFの閉鎖部を認めた。分岐部以下は軟化症を呈し左気管支は虚脱していた。開大して胃後壁が外反した胃瘻を再造設した後、5ヶ月に噴門形成術、11ヶ月に喉頭気管食道裂手術を前方アプローチで行った。気管食道間の隔壁はほぼ形成されたが、遠位端に瘻孔が残り、術後5ヶ月に右胸開で気管食道間の瘻孔を離断した。これにより呼吸状態は安定した。しかし、胃瘻が再び開大し唾液や胃液の流出が多く管理が困難であったので、胃瘻を閉鎖しチューブ空腸瘻を造設した。このとき胃管が挿入できず、食道吻合部をバルーン拡張した。1才10ヶ月の現在、気管は軟化症が残存して肉芽形成を認め、胃食道逆流症が再発して下部食道が著明に拡張、内容が停滞しており、抜管や経口摂取が遅れている。