11才女児,繰り返す腹痛,パニック症候群?
近畿大学医学部第二外科
中村成宏,八木 誠,野瀬恵介,吉田英樹,野上隆司,大柳治正
11才女児。帰省中に腹痛のため当院紹介となった。患児は12月頃より腹痛を繰り返していた。前医では父親が同症状でパニック症候群と診断されており,患児も同症候群が疑われていた。腹部所見は臍上部に圧痛を認めたが,筋性防御等腹膜炎所見はみられなかった。血液検査では貧血なく,白血球は15,000と増加していたが,CRPは陰性であった。腹部単純X線でも異常所見なし。入院の上経過観察としたが,翌日1回下血あり,その後の浣腸では普通便。2日目腹部膨満進行し,下血みるようになり,この頃下口唇に黒色斑点があるのに気づき,Peutz-Jeghers症候群を疑った。CT所見では腸重積との診断で緊急手術を施行した。手術所見ではtreitzより75cmの空腸に存在した径5cmのポリープが先進部となり,小腸重積を来し,腸管の捻転を伴っていた。約150cmの腸管を切除し,腸瘻とした。術中盲腸にも径7cmのポリープを認め,切除した。反省の意味を込めて報告する。