腸重積を発症した悪性リンパ腫の一例

大阪市立総合医療センター小児外科
中岡達音、東 孝、中村哲郎、森内隆喜、春本 研、中平公士

症例)2才9カ月男児、主訴)腹部膨満。現病歴)左末梢顔面神経麻痺で前医入院中であった。平成14年12月7日より腹部膨満と腹痛が出現し、8日に当院転院となった。入院後経過)触診上右上腹部から側腹部にかけて表面不整、手拳大の堅い腫瘤を認めた。超音波検査で腸重積を疑い、注腸造影で腸重積と診断したが整復不能であったため、開腹手術を施行した。手術所見)回腸-結腸型腸重積を認め、迅速病理組織診で悪性リンパ腫と診断された。重積部の腸管壁は肥厚し後腹膜の腫瘍と一塊となっており、用手整復は困難であった。しかし視診上、血流は良好で口側腸管の拡張もないため、保存的に治療することとした。生検と中心静脈ルート留置を行い、術後化学療法を開始した。